奥野先生のコラム

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先日も膝の痛みを抱えた患者さんがいらっしゃいました。60歳の女性の方です。

何でも1年以上痛いそうです。

そして近くのお医者さんに通っていて、一向に治らないということでした。

そのお医者さんで言われていることは「筋トレをしなさい」だったそうです。

彼女はその言葉を守り、エスカレーターも使わないで階段を昇っていたそうです。

ですが、平地を歩くのですら痛くて、階段だと余計に痛いそうです。

それでも我慢して半年以上続けました。

ところが痛みが一向によくなりません。


それで、私のところに来ました。


患者さんは膝の内側を痛がっていました。レントゲンはほとんど正常です。

エコーで見てみると、膝の内側の滑膜増殖が見られました。左右で比べると一目瞭然です。

エコーで見ながら、その滑膜組織の中に少量のステロイドと痛み止めを注射しました。


翌週、「おかげさまで」と言いながら外来室に入ってきました。

階段の時だけ痛むが、他の時はすっかり良くなったとおっしゃいます。

もう一度だけ注射をしました。


この2回の注射だけで、患者さんの痛みはすっかりとれました。階段も痛み無く上がれます。


筋トレをしなくても、痛みは取れるのです。

ひざの痛みの大部分の人が、関節の周りの滑膜や脂肪組織の炎症、関節包の炎症で痛みが出ています。これらは筋トレとは無関係です。

筋トレなど、痛みがとれてからいくらでもやればいいのです。


私は筋トレを否定しているわけではありません。

膝の関節が健全であるために筋トレは重要だと思います。

ただし、「痛みがあるんですね、では筋トレしてください」というのは、間違っていると思います。

この「筋トレしなさい」というのは一部の先生が言っているのではなくて、多くのドクターが口にしています。


ちゃんと痛みと向き合うと、患者さんの痛みをとってあげることができるのです。