奥野先生のコラム

オクノクリニック公式サイト

メディア掲載

日刊ゲンダイ 2014年3月28日


この病院の看板診療科
五十肩などの長引く痛み
奥野祐次医師
江戸川病院整形外科(東京都江戸川区)

五十肩、腰痛、ひざ痛 長引く痛みの原因は不要な血管だった!?!


運動器カテーテル治療

 五十肩や腰痛、膝や踵(かかと)の痛み、難治性の肩こりなど……。身体を動かす各種器官の痛みを解消する新たな治療法が登場し、大きな注目を浴びている。運動器カテーテル治療がそれだ。
「痛みが生じている部位までカテーテル(直径1㎜の柔らかいチューブ)を挿入し、その先端から薬剤を注入。痛みの原因となる不要な血管を排除し、痛みを解消するのが運動器カテーテル治療です」
笑顔でこう語るのは運動器カテーテル治療のパイオニア、江戸川病院整形外科の奥野祐次医師だ。
カテーテル治療といえば、くも膜下出血を予防する脳動脈瘤の血管内治療をはじめ、心臓病やがんなどさまざまな分野で活用されているが……。
「整形外科領域で患者さんの身体的負担がきわめて軽く、大きな治療効果をもたらす最先端治療として応用=実現したのが運動器カテーテル治療なのです」
なぜ、カテーテル治療で炎症箇所の不要な血管を排除すると痛みが解消するのか。
「肩や膝などの関節に炎症が起こると、そこに新たな血管=新生(しんせい)血管が一時的に生じます」
 新生血管が生じると、それに伴い神経も増える。。神経は血管と対になって存在するからだ。
「通常、炎症が治まると新生血管もそれに伴った神経も消え、痛みも消失します。しかし、稀に新生血管が消えないまま残ることがあるのです。その結果、神経も残存し、いつまでも長引く痛みに苦しむことになってしまうのです」
五十肩や膝などのしつこい長引く痛みの原因がこれだ。
「運動器カテーテル治療では、手首の橈(とう)骨(こつ)動脈や太ももの大腿(だいたい)動脈からカテーテルを入れ、炎症箇所まで進めます。次に炎症箇所の不要な血管にカテーテルを介してチエナムという薬剤を直接投与し、不要な新生血管を排除することで神経も消失させ、痛みを解消してしまうのです」
 数年来の五十肩の痛みで、腕がまったく上に挙げられないばかりか、後ろへも回せなくなった沢山佳子さん(仮名)も奥野医師の運動器カテーテル治療を受けた1人。
「手首からカテーテルを挿入し、約1時間の日帰り治療を行いました」
 1週間くらい経ったら痛みが和らぎ、かなり腕を挙げられるようになり、1ヵ月後には背中に手を回せるようにもなった。服の脱ぎ着きも楽になり、嘘のようにしつこい五十肩の痛みがなくなった。
「スポーツなどによるランナー膝やアキレス腱炎、テニス肘、ゴルフ肘などの痛みもすみやかに解消します」
①患部を押すと痛みが出る、②動き始めが痛い、③じっとしていても痛い、④階段を上り下りするときに痛い、⑤張りや違和感がある。こうした症状が認められるときは、不要な新生血管が原因となっていることが多い。
「『運動器カテーテル治療で早期に復帰できる』と選手から喜ばれています」

日刊ゲンダイ 2014年3月28日