奥野先生のコラム
奥野ブログ
2014/05/08
最近の論文で
ナルコレプシーは自己免疫疾患であることが確認されたらしいです。
自己免疫疾患は、免疫系が自分の正常な細胞や組織を、標的と勘違いして攻撃してしまうことで起きる病気です。
ナルコレプシーとは、日中、急激に眠くなったり(病的に)、突然寝てしまったりする睡眠障害です。
目が覚めている、という覚醒状態を維持するのに必要なヒポレクチンというホルモンを作るニューロンが免疫系によって攻撃される、というのが想定されているメカニズムのようです。
ナルコレプシーの患者さんから採取された免疫細胞を調べたところ(CD4+T細胞という特定物を攻撃する細胞)、ヒポレクチンを標的とする細胞のグループが発見されました。
中国で新型インフルエンザが流行ったときにナルコレプシーの患者さんが急に増えたことや、ヨーロッパで市販された新型インフルエンザへのワクチン接種でナルコレプシーの患者さんが多発したことの説明にもなるとのことです。
どうも新型インフルエンザのタンパクの一部とヒポレクチンで似ているところがあるらしい(似ているために間違えて正常な自分の体の組織を攻撃するようになってしまう細胞が出来てしまった)
また、新型インフルエンザだけでなく、季節性のインフルエンザにかかることがきっかけでナルコレプシーを発症することもあるようです。
免疫細胞が何を標的にしているかが調べられるようになると、今後もこういうのが他にも解明されるのかも?
詳しくは下記のサイト(ただし英語です)
http://www.nature.com/news/narcolepsy-confirmed-as-autoimmune-disease-1.14413
