10月9日(金)10日(土)にかけて仙台国際センターで開催される第42回日本肩関節学会に参加してきます。
日本肩関節学会は、世界で最も古くから存在する「肩」専門の学会のようです。確かに40年以上前からあるというだけで、歴史を感じます。
学会ってどんなところ?と思う人もいるかもしれませんが、一言で言うと、ある分野の専門の医者が集まって、それぞれの経験したことや調べたことを話す、そしてディスカッションする場と言えます。
学会には必ずサブタイトルのようなものが存在します。
今回の肩学会のサブタイトルは「肩の病態解明を目指して」
発表者の発表内容はサブタイトルに直接的に影響されるわけではありませんが、発表内容をああしよう、こうしようとする際に、もしかしたら頭の片隅にサブタイトルが置かれていて、無意識のうちに影響してくるものかもしれません。
学会が近づいてくると、参加者にはあらかじめ発表内容が書かれた分厚い本(抄録集(しょうろくしゅう)と呼びます)が送られてきます。プログラムの流れ、日程表、会場地図などに加えて、いつだれが、どんな発表をするのかが簡単にまとめられていて、あらかじめ目にすることができます。
先日、第42回日本肩関節学会の抄録集が送られてきたため、目を通してみました。
興味深く感じたのは、「血管と痛み」の関係について調べた発表が私以外にもいくつかあったことです。
当然、私の発表は血管に絡めたものなのですが、私以外の人たちからも、血管に焦点をあてた内容がありました。
ある研究グループは、重症の五十肩の人と、健康な人とで、特殊なMRI検査をして、肩の血管を調べています。その結果、五十肩の人では、肩の前のほうに血管が増えていることを見出しています。
また別のグループは、動物実験の結果を報告しています。動物の関節を固定して、五十肩のような状態にするとどんな変化が起きるかを調べています。
その結果、五十肩になった動物では、肩の前のほうに血管が増えることがわかったと報告しています。
面白いですね。どちらも肩の前のほう。
このサイトの他のコラムでは紹介していますが、この場所は「腱板疎部(けんばんそぶ)」と呼ばれる場所です。
ここに血管が増えてしまう、というのが五十肩の正体だと、以前のコラムで私が述べさせていただきましたが、その通りの結果を、もちろん私も含めて、私以外の専門医の先生が報告しています。
これから、このような病気の正体(これを「病態」といいます)が解明されて、適切な治療が導かれることを期待しています。
まさしく、今回の肩学会のサブタイトルの通り!なわけですね!